講師Interview

法律の「面白さ」を感じられるような授業を。
萩野 貴史 講師
[担当科目]:刑法各論
[プロフィール]:早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程(単位取得後満期退学)。獨協大学法科大学院特任助教、名古屋学院大学法学部専任講師、名城大学法学部准教授等を経て、現在は名城大学法学部教授/茨城県出身
担当している科目の内容を教えてください。
私は、「刑法各論」という科目を担当しています。刑法には主として、犯罪とそれに対する刑罰が定められています。たとえば傷害罪に関する刑法204条は、「人の身体を傷害した者は、15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。」と定めています。この条文は一見すると明確にみえますが、その適用範囲は必ずしも明らかではありません。たとえば刑法208条は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」を暴行罪としており、最大で2年の拘禁刑に処することになっています。傷害罪(15年以下の拘禁刑)と暴行罪(2年以下の拘禁刑)では、かなり刑罰が違いますね。それでは、この2つの罪の境界はどこにあるのでしょうか。204条や208条に出てくる「傷害」の有無はどのような基準で判断されるのでしょうか。こうした問いかけに答えられるよう、1つ1つの規定の適用範囲をしっかりと学んでいくことが、「刑法各論」という授業の中心的な内容です。
担当してる科目の学ぶ楽しさ・意義などを教えてください。
とても古い裁判の事案ですが、「女性の髪の毛を根元から、カミソリで無理やり切り取った」というものがあります。こうした行為は傷害罪に当たるのでしょうか、それとも暴行罪に当たるのでしょうか。この点について、健康状態を悪化させる行為だけが「傷害」であり、髪を根元から切断しても傷害罪ではなく暴行罪にすぎないという見方もあれば、外貌を大きく変化させる行為も傷害罪に該当するという見方もあります。どちらかが正しくどちらかが間違っているというわけではありません。その考え方のメリットやデメリットを他の人たちと話し合い、「私たちが暮らす社会のルール」をより良いものにしていく必要があります。
こうした作業を通じて、自分とは異なる意見を知ることはもちろん、「自分の考え方(自分という人間)」を理解していくことも意外と楽しいものです。また、他の人の意見に流されるのではなく、自分の考えを明確に形成していく能力は、将来的にも役立つのではないでしょうか。
授業の中で大切にしていることは?
刑法各論では条文が学びの基本・中心となりますが、ただ条文の内容を教壇で解説するだけでは、面白さを感じにくいように思います。
そこで、具体例を多く用いたり、今まさに世間を賑わせているニュースを扱ったり、教壇を離れて動き回ったり、時には映画やアニメといった架空の物語を現実の刑法と照らし合わせたりと、履修者の皆さんが「何らかの面白さ」を感じられるような授業にしていくという意識を大切にしています。
先生の研究内容等、本校以外での活動について教えてください。
刑事法学(刑法学)を専攻しており、不作為犯論を主な研究テーマとしています。大学の授業では、刑法学や刑事政策学を担当することが多いです。2023年度からは、刑務官の研修などを行う矯正研修所(名古屋支所)で外部講師を務めたりもしています。
先生が現在の職業・研究をめざした理由・きっかけなどがあれば教えてください。
最初は、大学教員という職業や研究に興味をもったのではありません。学生時代にゼミの先生の授業が面白く、徐々に勉強にのめり込んでいった気がします。大学卒業後の進路を考える時に「もう少し勉強したい」と考えて大学院に進学し、その延長線上で今の職業に就いています。
本校のよさがあれば教えてください。
私は大学との比較で考えてしまいますが、やはり学生と教職員の距離の近さが良いと思います。少人数教育を活かして教職員の方々が一人一人の学生を把握した上できめ細やかな対応をされており、学生の皆さんからも相談しやすそうにみえます。
在校生が履修をする際のメッセージをお願いします。
「授業中にしっかりとノートやメモを取る」ことをお願いしたいです。私の授業は、板書の量があまり多くありません。むしろ、受講者の方に向かってずっと話し続けているタイプです。教員が丁寧に板書してそれを写すだけの方が、受講者の皆さんにとっては楽かもしれません。また、「人の話を聞きながら、その話の要点を見定め、自分なりのスタイルでメモしていく」ことが、最初は上手くできないかもしれません。しかし、社会で働く営業担当の方などは、これをしっかりとこなしているのではないかと思います。つまり、顧客との電話中や面談中に相手の話に耳を傾けつつ、その要点をメモしていく能力は、実社会でも役立つのではないでしょうか。その意味で、「将来に役立つ能力を鍛える」と思って、授業中にも取り組んでほしいですね。
本校への入学を検討している方へメッセージをお願いします。
人生は、選択の連続です。そして、自分で何かを選ぶ時にはどうしても迷いが生じます。その時に、さまざまな情報を集めたり真剣に考え抜いたりすることは、もちろん大切です。しかし、選んだ道が「正解」かどうかは、誰にも分かりません。
むしろ、重要なのは、思い切って選んだ道を「正解」にできるよう努力し続けることではないでしょうか。本校への進学を決めた後は、目標に向かって思い切り学び、卒業の時に「この学校を選んでよかった。充実していた。」と思えるような毎日を過ごしていただきたいと思います。
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